一番わかりやすい!令和7年度 介護の処遇改善加算【障害福祉の参考にも】


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1. 基本的考え方
令和6年度介護報酬改定では、介護職員の処遇改善に関する加算を一本化し、以下の3つの観点から見直しを行いました。
- 事業者の負担軽減: 賃金改善や申請手続きの簡素化
- 利用者への分かりやすさ: 制度の明確化と利用者負担への理解促進
- 事業運営の柔軟性: 事業所全体での柔軟な運営を支援
具体的には、従来の3つの加算(旧処遇改善加算、旧特定加算、旧ベースアップ等加算)を、令和6年6月から「介護職員等処遇改善加算」に一本化。加算率の引き上げや配分方法も工夫されました。
さらに、令和6年度補正予算では、業務効率化や職場環境改善を支援する事業を設け、更なる賃上げを後押しします。
また、事業者の負担に配慮し、令和7年度中は経過措置期間を設け、一部要件の充足を猶予します。
具体的には、キャリアパス要件や職場環境等要件について、令和7年度中の整備を誓約した場合、または、介護人材確保・職場環境改善等事業の申請を行った場合に、令和7年度当初から要件を満たしたものとみなします。
【原文】介護職員等処遇改善加算に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例
1 基本的考え方
令和6年度介護報酬改定においては、①事業者の賃金改善や申請に係る事務負担を軽減する観点、②利用者にとって分かりやすい制度とし、利用者負担の理解を得やすくする観点、③事業所全体として、柔軟な事業運営を可能とする観点から、処遇改善に係る加算の一本化を行った。
具体的には、旧3加算(介護職員処遇改善加算(以下「旧処遇改善加算」という。)、介護職員等特定処遇改善加算(以下「旧特定加算」という。)及び介護職員等ベースアップ等支援加算(以下「旧ベースアップ等加算」という。)をいう。以下同じ。)の各区分の要件及び加算率を組み合わせる形で、令和6年6月から「介護職員等処遇改善加算」(以下単に「処遇改善加算」という。)への一本化を行うとともに、加算率の引上げや配分方法の工夫を行った。
さらに、令和6年度補正予算においては、更なる業務効率化や職場環境の改善を図り、介護人材確保・定着の基盤を構築する事業所に対し、所要の額を補助する事業として、介護人材確保・職場環境改善等事業を盛り込み、介護現場における更なる賃上げに向けた支援を行うこととしている。
また、処遇改善加算の更なる取得促進に向けて、事業者の事務負担等に配慮し、令和7年度中は経過措置期間を設けることとする。具体的には、3③から⑤までに規定するキャリアパス要件Ⅰからキャリアパス要件Ⅲまでについて、令和7年度中に取得要件を整備することを誓約した場合は、令和7年度当初から要件を満たしたものと取り扱うこととして差し支えないこととする。また、3⑧に規定する職場環境等要件について、令和7年度中に要件を整備することを誓約した場合は、令和7年度当初から要件を満たしたものと取り扱うこととして差し支えないこととする。また、介護人材確保・職場環境改善等事業の申請を行った場合は、令和7年度における職場環境等要件に係る適用を猶予することとする。
2. 処遇改善加算の仕組みと賃金改善の実施等
⑴ 処遇改善加算の単位数
① 処遇改善加算の単位数
- 1ヶ月あたりの総単位数(基本サービス費+各種加算減算(処遇改善加算を除く))に、サービス類型別の加算率(別紙1表1-1参照)を乗じて算出します。
② 算定対象外サービス
- 以下のサービスは、基準上介護職員が配置されていないため、処遇改善加算の算定対象外となります。(別紙1表1-2参照)
- 訪問看護、訪問リハビリテーション、居宅療養管理指導、福祉用具貸与、特定福祉用具販売
- 介護予防訪問看護、介護予防訪問リハビリテーション、介護予防居宅療養管理指導、介護予防福祉用具貸与、特定介護予防福祉用具販売
- 居宅介護支援、介護予防支援
③ その他
- 処遇改善加算は、区分支給限度基準額の算定対象から除外されます。
【原文】介護職員等処遇改善加算に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例
2 処遇改善加算の仕組みと賃金改善の実施等
⑴ 処遇改善加算の単位数
処遇改善加算の単位数として、サービス別の基本サービス費に各種加算減算(処遇改善加算を除く。)を加えた1月当たりの総単位数に、加算区分ごとに、別紙1表1-1に掲げるサービス類型別の加算率を乗じた単位数を算定する。また、別紙1表1-2のとおり、基準上介護職員が配置されていない、訪問看護、訪問リハビリテーション、居宅療養管理指導、福祉用具貸与、特定福祉用具販売、介護予防訪問看護、介護予防訪問リハビリテーション、介護予防居宅療養管理指導、介護予防福祉用具貸与及び特定介護予防福祉用具販売並びに居宅介護支援及び介護予防支援については、処遇改善加算の算定対象外とする。
なお、処遇改善加算は、区分支給限度基準額の算定対象から除外される。
⑵ 賃金改善の実施に係る基本的な考え方
① 賃金改善の実施義務
- 介護サービス事業者等は、処遇改善加算の算定額に相当する額を、介護職員及びその他の職員の賃金改善に充てなければなりません(法定福利費等の事業主負担増加分も含む)。
- 賃金改善は、基本給、手当、賞与等(退職手当を除く)のいずれかの項目を特定して行い、原則として賃金水準を低下させてはいけません。
- 安定的な処遇改善のため、基本給による賃金改善が望ましいです。
② 令和7年度の賃金改善(令和6年度からの増加分について)
- 令和7年度に加算額が増加した場合(上位区分への移行や新規算定によるもの)、介護サービス事業者等は、過去の賃金改善実績に関わらず、新たに増加した加算額相当分を新規に賃金改善しなければなりません。
- 新規の賃金改善は、原則としてベースアップで行います。ただし、事情により困難な場合は、他の手当や一時金等を組み合わせても構いません。
③ 賃金配分の考え方
- 介護職員への配分を基本とし、特に経験・技能のある介護職員(勤続年数10年以上の介護福祉士等を基本とし、事業者の裁量で設定)に重点的に配分します。
- 事業者の判断で、介護職員以外の職種への配分も可能ですが、職務内容や勤務実態に見合わない著しく偏った配分は認められません(例:一部職員や事業所への集中など)。
【原文】介護職員等処遇改善加算に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例
2 処遇改善加算の仕組みと賃金改善の実施等
⑵ 賃金改善の実施に係る基本的な考え方
介護サービス事業者又は介護保険施設(介護予防・日常生活支援総合事業の事業者を含む。以下「介護サービス事業者等」という。)は、処遇改善加算の算定額に相当する介護職員その他の職員の賃金(基本給、手当、賞与等(退職手当を除く。以下同じ。)を含む。)の改善(以下「賃金改善」といい、当該賃金改善に伴う法定福利費等の事業主負担の増加分を含むことができる。)を実施しなければならない。
その際、賃金改善は、基本給、手当、賞与等のうち対象とする項目を特定した上で行うものとする。この場合、本通知5⑵の届出を行う場合を除き、特定した項目を含め、賃金水準(賃金の高さの水準をいう。以下同じ。)を低下させてはならない。また、安定的な処遇改善が重要であることから、基本給による賃金改善が望ましい。
また、令和7年度に、令和6年度と比較して増加した加算額(処遇改善加算Ⅰ~Ⅳの上位区分への移行及び新規算定によるもの)について、介護サービス事業者等は、独自の賃金改善を含む過去の賃金改善の実績に関わらず、新たに増加した処遇改善加算の算定額に相当する介護職員その他の職員の賃金改善を新規に実施しなければならない。その際、新規に実施する賃金改善は、ベースアップ(賃金表の改訂により基本給又は決まって毎月支払われる手当の額を変更し、賃金水準を一律に引き上げることをいう。以下同じ。)により行うことを基本とする。ただし、ベースアップのみにより当該賃金改善を行うことができない場合(例えば、賃金体系等を整備途上である場合)には、必要に応じて、その他の手当、一時金等を組み合わせて実施しても差し支えない。
処遇改善加算を用いて行う賃金改善における職種間の賃金配分については、介護職員への配分を基本とし、特に経験・技能のある介護職員(介護福祉士であって、経験・技能を有する介護職員と認められる者をいう。具体的には、介護福祉士の資格を有するとともに、所属する法人等における勤続年数 10 年以上の介護職員を基本としつつ、他の法人における経験や、当該職員の業務や技能等を踏まえ、各事業者の裁量で設定することとする。以下同じ。)に重点的に配分することとするが、介護サービス事業者等の判断により、介護職員以外の職種への配分も含め、事業所内で柔軟な配分を認めることとする。ただし、例えば、一部の職員に加算を原資とする賃金改善を集中させることや、同一法人内の一部の事業所のみに賃金改善を集中させることなど、職務の内容や勤務の実態に見合わない著しく偏った配分は行わないこと。
⑶ 令和6年度の加算額の一部を令和7年度に繰り越した介護サービス事業者等における取扱い
① 繰り越し措置の概要
- 令和6年度においては、介護サービス事業者等の判断で、令和6年度に増加した加算額の一部を令和7年度に繰り越し、令和7年度の賃金改善に充てることが認められました。
- 令和6年度分の加算額全額を令和6年度の賃金改善に充てることは求められていません。
② 繰越額の上限と使途
- 繰越額の上限は、令和6年度に旧3加算を継続した場合の見込み額と、令和6年度の処遇改善加算及び旧3加算の加算額(計画書では見込額)を比較して増加した額です。
- 繰越額は、全額を令和7年度の更なる賃金改善に充てることを誓約する必要があります。
- 令和7年度の処遇改善計画書・実績報告書で、繰越額を用いた賃金改善の計画・報告を提出します。
- ただし、令和7年度の賃金改善実施期間終了までに事業所等が休止・廃止となった場合は、その時点で繰越分の残額を一時金等で全額職員に配分する必要があります。
③ 令和6年度に繰り越しを誓約した事業者の手続き
- 令和6年度の処遇改善計画書で繰越額の全額を令和7年度の賃金改善に充当することを誓約した事業者は、令和7年度の処遇改善計画書・実績報告書で、繰越額を用いた賃金改善の計画・報告を提出してください。
【原文】介護職員等処遇改善加算に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例
2 処遇改善加算の仕組みと賃金改善の実施等
⑶ 令和6年度の加算額の一部を令和7年度に繰り越した介護サービス事業者等における取扱い
令和6年度においては、介護サービス事業者等の判断により、令和6年度に令和5年度と比較して増加した加算額の一部を令和7年度に繰り越した上で令和7年度分の賃金改善に充てることを認め、令和6年度分の加算の算定額の全額を令和6年度分の賃金改善に充てることは求めないことした。
その際、令和7年度の賃金改善の原資として繰り越す額(以下「繰越額」という。)の上限は、令和6年度に、仮に令和5年度末(令和6年3月)時点で算定していた旧3加算を継続して算定する場合に見込まれる加算額と、令和6年度の処遇改善加算及び旧3加算の加算額(処遇改善計画書においては加算の見込額をいう。)を比較して増加した額とし、繰越額については、全額を令和7年度の更なる賃金改善に充てることについて誓約した上で、令和7年度の処遇改善計画書・実績報告書において、当該繰越額を用いた賃金改善の計画・報告の提出を求めることとしている。(ただし、令和7年度の賃金改善実施期間の終わりまでに事業所等が休止又は廃止となった場合には、その時点で、当該繰越分の残額を、一時金等により、全額、職員に配分しなければならないこととしている。)
そのため、令和6年度の処遇改善計画書において繰越額の全額を令和7年度の更なる賃金改善に充てることを誓約した介護サービス事業者等については、令和7年度の処遇改善計画書・実績報告書において、当該繰越額を用いた賃金改善の計画・報告の提出を行うこと。
3. 介護職員等処遇改善加算の要件
全体構造
- 処遇改善加算Ⅰ: 最も加算率が高い区分。①~⑧の全ての要件を満たす必要がある。
- 処遇改善加算Ⅱ: Ⅰより要件が緩和。⑦(キャリアパス要件Ⅴ)は不要。
- 処遇改善加算Ⅲ: Ⅱよりさらに要件が緩和。⑥(キャリアパス要件Ⅳ)と⑦が不要。
- 処遇改善加算Ⅳ: Ⅲよりさらに要件が緩和。⑤(キャリアパス要件Ⅲ)~⑦が不要。
- ②の要件の例外: 過去に特定の加算(旧ベースアップ等加算、または令和6年度の経過措置である処遇改善加算Ⅴの一部)を算定していた事業所は、②(月額賃金改善要件Ⅱ)の適用を受けない。
各要件の詳細(①~⑧)
① 月額賃金改善要件Ⅰ(月給による賃金改善):
- 基本原則: 処遇改善加算Ⅳの加算額の1/2以上を、基本給または決まって毎月支払われる手当(基本給等)の改善に充てること。
- Ⅰ~Ⅲの場合: 「もしⅣを算定した場合に見込まれる加算額」の1/2以上を基本給等に充当。
- 重要ポイント:
- 原則として、基本給等の引き上げは「ベースアップ」(賃金表改訂による一律引き上げ)で行う。
- 新規に処遇改善加算を算定開始する場合を除き、この要件のために賃金総額を新たに増やす必要はない。既存の手当や一時金を減額し、基本給等に振り替えても良い。
- 既にこの要件を満たしている場合は、新たな対応は不要。
② 月額賃金改善要件Ⅱ(旧ベースアップ等加算相当の賃金改善):
- 対象事業所: 令和6年5月31日時点で旧処遇改善加算を算定、かつ旧ベースアップ等加算を算定していない事業所が、令和8年3月31日までの間に新規に処遇改善加算Ⅰ~Ⅳのいずれかを算定する場合。
- 内容: 令和7年度は、旧ベースアップ等加算相当の加算額の2/3以上の基本給等の引き上げを新規に実施(原則ベースアップ)。
- 対象外: 令和6年5月以前に旧3加算を算定していなかった事業所、令和6年6月以降に開設された事業所。
- 報告義務: 令和7年度にこの要件が適用される事業所は、令和7年度の実績報告書で賃金改善の実施を報告。
- 計算方法: 旧ベースアップ等加算相当額は、簡略化された計算式で算出(別紙1表3参照)。
③ キャリアパス要件Ⅰ(任用要件・賃金体系の整備等):
- 1. 介護職員の任用時の職位、職責、職務内容等に応じた任用要件(賃金に関するものを含む)を定める。
- 2. 上記1.に対応する賃金体系(一時金等を除く)を定める。
- 3. 上記1.と2.を就業規則等に明記し、全介護職員に周知(10人未満の事業所は内規等でも可)。
- 【令和7年度の特例】令和8年3月末までに上記1.と2.の整備を誓約すれば、令和7年度当初から要件を満たすとみなされる(令和8年3月末までに整備し、実績報告書で報告)。
④ キャリアパス要件Ⅱ(研修の実施等):
- 1. 介護職員と意見交換し、資質向上の目標と、以下のaまたはbの具体的な計画を策定し、研修実施または機会確保。
- a: 研修/技術指導(OJT、OFF-JT等)と能力評価。
- b: 資格取得支援(シフト調整、休暇付与、費用援助等)。
- 2. 上記1.を全介護職員に周知。
- 【令和7年度の特例】令和8年3月末までに計画策定等を誓約すれば、令和7年度当初から要件を満たすとみなされる(令和8年3月末までに実施し、実績報告書で報告)。
⑤ キャリアパス要件Ⅲ(昇給の仕組みの整備等):
- 1.経験/資格等に応じた昇給、または一定基準に基づく定期昇給の仕組みを設ける(以下のa~cのいずれか)。
- a: 経験(勤続年数等)に応じた昇給。
- b: 資格等(介護福祉士等資格取得、研修修了)に応じた昇給。
- c: 一定基準(実技試験、人事評価等)に基づく定期昇給(客観的基準/条件を明文化)。上記1.を就業規則等に明記し、全介護職員に周知(10人未満の事業所は内規等でも可)。
- 【令和7年度の特例】令和8年3月末までに上記1.の整備を誓約すれば、令和7年度当初から要件を満たすとみなされる(令和8年3月末までに整備し、実績報告書で報告)。
⑥ キャリアパス要件Ⅳ(改善後の年額賃金要件):
- 経験・技能のある介護職員のうち1人以上は、賃金改善後の賃金見込額(加算による改善含む)が年額440万円以上(加算前の賃金が440万円以上の者は除く)。
- 【例外規定】小規模事業所等で職種間の賃金バランスへの配慮が必要な場合、職員全体の賃金水準が低い、または地域の賃金水準が低い場合、規定の整備や研修・実務経験の蓄積などに一定期間を要する場合などは、合理的説明があれば例外とする。
⑦ キャリアパス要件Ⅴ(介護福祉士等の配置要件):
- サービス類型ごとに、一定数以上の介護福祉士等を配置。
- 具体的には、別紙1表4の加算(サービス提供体制強化加算、特定事業所加算、入居継続支援加算、日常生活継続支援加算)のいずれかの届出。
⑧ 職場環境等要件:
- 別紙1表5に掲げる処遇改善の取り組みを実施。
- 加算区分による違い:
- Ⅰ・Ⅱ: 「入職促進に向けた取組」「資質の向上やキャリアアップに向けた支援」「両立支援・多様な働き方の推進」「腰痛を含む心身の健康管理」「やりがい・働きがいの醸成」の各区分から各2つ以上、「生産性向上のための取組」から3つ以上(➃または⑱は必須)実施し、ホームページ等で公表。
- Ⅲ・Ⅳ: 「入職促進に向けた取組」「資質の向上やキャリアアップに向けた支援」「両立支援・多様な働き方の推進」「腰痛を含む心身の健康管理」「やりがい・働きがいの醸成」の各区分から各1つ以上、「生産性向上のための取組」から2つ以上実施。
- 生産性向上のための取組特例①: 生産性向上推進体制加算算定事業所は、「生産性向上のための取組」要件を満たすものとする。
- 生産性向上のための取組特例②: 小規模事業所(1法人1施設/事業所)は、㉔の取組をしていれば「生産性向上のための取組」要件を満たすものとする。
- 【令和7年度の特例】令和8年3月末までの取組実施を誓約すれば、令和7年度当初から要件を満たすとみなされる(令和8年3月末までに実施し、実績報告書で報告)。
- 介護人材確保・職場環境改善等事業: 申請により令和7年度の職場環境等要件の適用を猶予(別紙様式2-3、別紙様式2-4で申請)。
総括
介護職員等処遇改善加算は、介護職員の処遇改善を目的とした制度ですが、算定要件が非常に複雑です。特に、加算区分によって要件が異なり、令和7年度は多くの経過措置や特例が設けられています。
この要約を参考に、自事業所に必要な情報を正確に把握し、適切に対応することが重要です。不明な点がある場合は、厚生労働省の資料や相談窓口を活用し、確認することをお勧めします。
【原文】介護職員等処遇改善加算に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例
3 介護職員等処遇改善加算の要件
処遇改善加算Ⅰの算定に当たっては、2に規定する賃金改善の実施に加え、以下の①から⑧までに掲げる要件を全て満たすこと。ただし、処遇改善加算Ⅱについては⑦の要件、処遇改善加算Ⅲについては⑥及び⑦の要件、処遇改善加算Ⅳについては⑤から⑦までの要件を満たさなくても算定することができる。また、いずれの加算区分においても、②の要件は、処遇改善加算ⅠからⅣまでのいずれかの算定以前に旧ベースアップ等加算又は令和6年度中の経過措置区分として、令和7年3月 31 日まで算定することが可能であった処遇改善加算Ⅴ⑵、⑷、⑺、⑼若しくは⒀を算定していた事業所については適用しない。
① 月額賃金改善要件Ⅰ(月給による賃金改善)
処遇改善加算Ⅳの加算額の2分の1以上を基本給又は決まって毎月支払われる手当(以下「基本給等」という。)の改善に充てること。また、事業所等が処遇改善加算ⅠからⅢまでのいずれかを算定する場合にあっては、仮に処遇改善加算Ⅳを算定する場合に見込まれる加算額の2分の1以上を基本給等の改善に充てること。
なお、処遇改善加算を未算定の事業所が新規に処遇改善加算ⅠからⅣまでのいずれかを算定し始める場合を除き、本要件を満たすために、賃金総額を新たに増加させる必要はない。したがって、基本給等以外の手当又は一時金により行っている賃金改善の一部を減額し、その分を基本給等に付け替えることで、本要件を満たすこととして差し支えない。また、既に本要件を満たしている事業所等においては、新規の取組を行う必要はない。ただし、この要件を満たすために、新規の基本給等の引上げを行う場合、当該基本給等の引上げはベースアップ(賃金表の改訂により基本給等の水準を一律に引き上げること)により行うことを基本とする。
② 月額賃金改善要件Ⅱ(旧ベースアップ等加算相当の賃金改善)
令和6年5月 31 日時点で現に旧処遇改善加算を算定しており、かつ、旧ベースアップ等加算を算定していない事業所が、令和8年3月 31 日までの間において、新規に処遇改善加算ⅠからⅣまでのいずれかを算定する場合には、令和7年度においては、旧ベースアップ等加算相当の加算額が新たに増加するため、当該事業所が仮に旧ベースアップ等加算を算定する場合に見込まれる加算額の3分の2以上の基本給等の引上げを新規に実施しなければならない。その際、当該基本給等の引上げは、ベースアップにより行うことを基本とする。また、令和6年5月以前に旧3加算を算定していなかった事業所及び令和6年6月以降に開設された事業所が、処遇改善加算ⅠからⅣまでのいずれかを新規に算定する場合には、月額賃金改善要件Ⅱの適用を受けない。
令和7年度に本要件の適用を受ける事業所は、初めて処遇改善加算ⅠからⅣまでのいずれかを算定した年度となる令和7年度の実績報告書において、当該賃金改善の実施について報告しなければならない。したがって、例えば、令和6年6月から処遇改善加算Ⅴ⑴(旧ベースアップ等加算相当の加算率を含まない)を算定し、令和7年4月から処遇改善加算Ⅰを算定する場合は、令和7年4月から旧ベースアップ等加算相当の加算額の3分の2以上の基本給等の引上げを新規に実施し、令和7年度の実績報告書で報告しなければならない。
なお、実績報告書においては、事業者等の事務負担を軽減する観点から、月額賃金改善要件Ⅱの判定に用いる旧ベースアップ等加算に相当する加算額は、処遇改善加算ⅠからⅣまでのそれぞれの加算額に、別紙1表3に掲げる処遇改善加算ⅠからⅣまでの加算率と旧ベースアップ等加算の加算率の比(小数第4位以下を切捨て)を乗じて算出した額とする。
③ キャリアパス要件Ⅰ(任用要件・賃金体系の整備等)次の一から三までを全て満たすこと。
一 介護職員の任用の際における職位、職責、職務内容等に応じた任用等の要件(介護職員の賃金に関するものを含む。)を定めていること。
二 一に掲げる職位、職責、職務内容等に応じた賃金体系(一時金等の 臨時的に支払われるものを除く。)について定めていること。
三 一及び二の内容について就業規則等の明確な根拠規程を書面で整備し、全ての介護職員に周知していること。
ただし、常時雇用する者の数が 10 人未満の事業所等など、労働法規上の就業規則の作成義務がない事業所等においては、就業規則の代わりに内規等の整備・周知により上記三の要件を満たすこととしても差し支えない。また、令和7年度においては、処遇改善計画書において令和8年3月末までに上記一及び二の定めの整備を行うことを誓約した場合は、令和7年度当初からキャリアパス要件Ⅰを満たしたものと取り扱うこととして差し支えないこととする。当該誓約をした場合は、令和8年3月末までに当該定めの整備を行い、実績報告書においてその旨を報告することとする。
④ キャリアパス要件Ⅱ(研修の実施等)次の一及び二を満たすこと。
一 介護職員の職務内容等を踏まえ、介護職員と意見を交換しながら、資質向上の目標及びa又はbに掲げる事項に関する具体的な計画を策定し、当該計画に係る研修の実施又は研修の機会の確保をしていること。
a 資質向上のための計画に沿って、研修機会の提供又は技術指導等(OJT、OFF-JT 等)を実施するとともに、介護職員の能力評価を行うこと。
b 資格取得のための支援(研修受講のための勤務シフトの調整、休暇の付与、費用(交通費、受講料等)の援助等)を実施すること。
二 一について、全ての介護職員に周知していること。
ただし、令和7年度においては、処遇改善計画書において令和8年3月末までに上記一の計画を策定し、研修の実施又は研修機会の確保を行うことを誓約した場合は、令和7年度当初からキャリアパス要件Ⅱを満たしたものと取り扱うこととして差し支えないこととする。当該誓約をした場合は、令和8年3月末までに当該計画の策定等を行い、実績報告書においてその旨を報告することとする。
⑤ キャリアパス要件Ⅲ(昇給の仕組みの整備等)次の一及び二を満たすこと。
一 介護職員について、経験若しくは資格等に応じて昇給する仕組み又は一定の基準に基づき定期に昇給を判定する仕組みを設けていること。具体的には、次のaからcまでのいずれかに該当する仕組みであること。
a 経験に応じて昇給する仕組み
「勤続年数」や「経験年数」などに応じて昇給する仕組みであること。
b 資格等に応じて昇給する仕組み
介護福祉士等の資格の取得や実務者研修等の修了状況に応じて昇給する仕組みであること。ただし、別法人等で介護福祉士等の資格を取得した上で当該事業者や法人で就業する者についても昇給が図られる仕組みであることを要する。
c 一定の基準に基づき定期に昇給を判定する仕組み
「実技試験」や「人事評価」などの結果に基づき昇給する仕組みであること。ただし、客観的な評価基準や昇給条件が明文化されていることを要する。
二 一の内容について、就業規則等の明確な根拠規程を書面で整備し、全 ての介護職員に周知していること。
ただし、常時雇用する者の数が 10 人未満の事業所等など、労働法規上の就業規則の作成義務がない事業所等においては、就業規則の代わりに内規等の整備・周知により上記二の要件を満たすこととしても差し支えない。また、令和7年度においては、処遇改善計画書において令和8年3月末までに上記一の仕組みの整備を行うことを誓約した場合は、令和7年度当初からキャリアパス要件Ⅲを満たしたものと取り扱うこととして差し支えないこととする。当該誓約をした場合は、令和8年3月末までに当該仕組みの整備を行い、実績報告書においてその旨を報告すること。
⑥ キャリアパス要件Ⅳ(改善後の年額賃金要件)
経験・技能のある介護職員のうち1人以上は、賃金改善後の賃金の見込額(処遇改善加算を算定し実施される賃金改善の見込額を含む。)が年額 440万円以上であること(処遇改善加算による賃金改善以前の賃金が年額 440 万円以上である者を除く。)。ただし、以下の場合など、例外的に当該賃金改善が困難な場合であって、合理的な説明がある場合はこの限りではない。
- 小規模事業所等で職種間の賃金バランスに配慮が必要な場合
- 職員全体の賃金水準が低い、地域の賃金水準が低い等の理由により、直ちに年額 440 万円まで賃金を引き上げることが困難な場合
- 年額 440 万円の賃金改善を行うに当たり、規程の整備や研修・実務経 験の蓄積などに一定期間を要する場合
⑦ キャリアパス要件Ⅴ(介護福祉士等の配置要件)
サービス類型ごとに一定以上の介護福祉士等を配置していること。具体的には、処遇改善加算を算定する事業所又は当該事業所が併設している本体事業所においてサービス類型ごとに別紙1表4に掲げるサービス提供体制強化加算、特定事業所加算、入居継続支援加算又は日常生活継続支援加算の各区分の届出を行っていること。
⑧ 職場環境等要件
処遇改善加算ⅠからⅣまでのいずれかを算定する場合は、別紙1表5に掲げる処遇改善の取組を実施すること。
その際、処遇改善加算Ⅰ又はⅡを算定する場合は、別紙1表5の「入職促進に向けた取組」、「資質の向上やキャリアアップに向けた支援」、「両立支援・多様な働き方の推進」、「腰痛を含む心身の健康管理」及び「やりがい・働きがいの醸成」の区分ごとに2以上の取組を実施し、処遇改善加算Ⅲ又はⅣを算定する場合は、上記の区分ごとに1以上の取組を実施すること。
また、処遇改善加算Ⅰ又はⅡを算定する場合は、同表中「生産性向上(業務改善及び働く環境改善)のための取組」のうち3以上の取組(うち➃又は⑱は必須)を実施し、処遇改善加算Ⅲ又はⅣを算定する場合は「生産性向上(業務改善及び働く環境改善)のための取組」のうち2以上の取組を実施すること。ただし、生産性向上推進体制加算を算定している場合には、「生産性向上(業務改善及び働く環境改善)のための取組」の要件を満たすものとし、1法人あたり1の施設又は事業所のみを運営するような法人等の小規模事業者は、㉔の取組を実施していれば、「生産性向上(業務改善及び働く環境改善)のための取組」の要件を満たすものとする。
さらに、処遇改善加算Ⅰ又はⅡを算定する場合は、職場環境等の改善に係る取組について、ホームページへの掲載等により公表すること。具体的には、介護サービスの情報公表制度を活用し、処遇改善加算の算定状況を報告するとともに、職場環境等要件を満たすために実施した取組項目及びその具体的な取組内容を「事業所の特色」欄に記載すること。当該制度における報告の対象となっていない場合等には、各事業者のホームページを活用する等、外部から見える形で公表すること。
ただし、令和7年度においては、処遇改善計画書において令和8年3月末までに職場環境等要件に係る取組を行うことを誓約した場合は、令和7年度当初から職場環境等要件を満たしたものと取り扱うこととして差し支えないこととする。当該誓約をした場合は、令和8年3月末までに当該取組を行い、実績報告書においてその旨を報告すること。また、介護人材確保・職場環境改善等事業の申請を行った場合は、令和7年度における職場環境等要件に係る適用を猶予することとする。介護人材確保・職場環境改善等事業の申請を行い、職場環境等要件の適用猶予を受ける場合には、処遇改善加算の申請と併せて、別紙様式2―3及び別紙様式2―4に定める様式により、介護人材確保・職場環境改善等事業の申請も行うこと。
4. 処遇改善加算の算定に係る事務処理手順
必要な手続きと提出期限
① 体制等状況一覧表等の届出(体制届出):
- 提出書類: 介護サービス事業所・施設ごとに、「介護給付費算定に係る体制等状況一覧表」または「介護予防・日常生活支援総合事業費算定に係る体制等状況一覧表」などの必要書類一式(体制届出)。
- 提出期限:
- 原則:
- 居宅系サービス: 算定開始月の前月15日
- 施設系サービス: 算定開始月の1日
- 【令和7年4月から新規算定/区分変更の場合】令和7年4月1日(ただし、都道府県知事等は4月15日まで延長可。4月1日とする場合も、4月15日まで変更届等の受付することを都道府県知事等に要請)。
- 原則:
- 提出先: 介護サービス事業所等の所在する都道府県知事等(指定等権者によって異なる)。
④ 複数の事業所を持つ事業者の特例:
- 複数の介護サービス事業所等を持つ事業者は、処遇改善計画書等を事業者(法人)単位で一括作成可能。
- その場合でも、各事業所の指定等権者である都道府県知事等に、それぞれ上記の期日までに届け出る必要がある(「提出先」以外の項目は同一内容で可)。
【原文】介護職員等処遇改善加算に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例
4 処遇改善加算の算定に係る事務処理手順
令和7年度に処遇改善加算を算定しようとする介護サービス事業者等は、それぞれの期日までに以下の届出を行うこと。
⑴ 体制等状況一覧表等の届出(体制届出)
処遇改善加算の算定に当たっては、介護サービス事業所・施設等ごとに 、介護給付費算定に係る体制等状況一覧表又は介護予防・日常生活支援総合事業費算定に係る体制等状況一覧表等の必要書類一式(以下「体制届出」という。)の提出を行うこと。
その際、居宅系サービスの場合は算定を開始する月の前月 15 日、施設系サービス(短期入所生活介護、短期入所療養介護、(地域密着型)特定施設入居者生活介護、認知症対応型共同生活介護、地域密着型介護老人福祉施設を含む。以下同じ。)の場合は算定を開始する月の1日までに、当該介護サービス事業所等の所在する都道府県知事等(当該介護サービス事業所等の指定等権者が都道府県知事である場合は当該都道府県知事とし、当該介護サービス事業所等の指定等権者が市町村長(特別区長を含む。以下同じ。)である場合は当該市町村長とする。また、地域密着型サービス及び介護予防・日常生活支援総合事業において当該介護サービス事業所等の指定を行う市町村長を含む。以下同じ。)に提出するものとする。
なお、令和7年4月から新規に処遇改善加算を算定し始める場合又は処遇改善加算の区分を変更する場合の体制届出の期日は、居宅系サービス及び施設系サ-ビスのいずれにおいても令和7年4月1日とする。ただし、下記⑵のとおり、処遇改善計画書の届出期日が令和7年4月 15 日であることを踏まえ、都道府県知事等は、処遇改善加算に係る体制届出の期日を令和7年4月 15 日としても差し支えない。また、体制届出の期日を令和7年4月1日とする場合であっても、都道府県知事等は、令和7年4月 15 日までの間に介護サービス事業者等が届け出た処遇改善加算の算定区分の変更等を受け付ける等、柔軟な取扱いとすること。
⑵ 処遇改善計画書等の作成・提出
処遇改善加算の算定に当たっては、厚生労働大臣が定める基準(平成 27年厚生労働省告示第 95 号。以下「大臣基準告示」という。)第4号イ⑵等に規定する介護職員等処遇改善計画書を、別紙様式2-1及び別紙様式2-2に定める様式により作成し、当該事業年度において初めて処遇改善加 算を算定する月の前々月の末日までに、処遇改善加算を算定する介護サービス事業所等の所在する都道府県知事等に対して提出し、根拠資料と併せて2年間保存することとする。なお、確認の事務に要する時間が十分確保できる場合等において、都道府県知事等は処遇改善計画書の提出期日を延長しても差し支えない。
ただし、令和7年4月及び5月の処遇改善加算の算定に係る処遇改善計画書の提出期日は、令和7年4月 15 日とする。
⑶ 実績報告書等の作成・提出
処遇改善加算を算定した介護サービス事業者等は、大臣基準告示第4号イ⑷等に規定する実績の報告を、別紙様式3-1及び別紙様式3-2に定める様式により作成の上、各事業年度における最終の加算の支払があった 月の翌々月の末日までに、都道府県知事等に対して提出し、根拠資料と併せて2年間保存することとする。
このため、令和7年度の実績報告書の提出期日は、令和8年3月分の処遇改善加算の支払が令和8年5月であることから、通常の場合、令和8年7月 31 日となる。
⑷ 複数の介護サービス事業所等を有する介護サービス事業者等の特例
複数の介護サービス事業所等を有する介護サービス事業者等については、別紙様式2及び3の処遇改善計画書等について、事業者(法人)単位で一括して作成して差し支えない。
その際、処遇改善計画書等は、各介護サービス事業所等の指定等権者である都道府県知事等に対して、それぞれ上記⑴から⑶までに記載の期日までに、届出を行うこと。なお、各介護サービス事業所等の指定等権者に提出する処遇改善計画書等の記載事項は、「提出先」の項目以外は同一の内容で 差し支えない。
5. 都道府県知事等への変更等の届出
① 変更届出書
- 提出が必要な場合: 処遇改善計画書の内容に変更があった場合(以下の①~⑥のいずれかに該当する場合)。
- ① 会社合併等で計画書の作成単位が変わる場合(別紙様式2-1)
- ② 一括申請している事業所で、事業所数に増減があった場合(別紙様式2-1の2及び3(1)(2)(5)、別紙様式2-2)
- ③ キャリアパス要件Ⅰ~Ⅲの適合状況が変わり、加算区分が変わる場合(別紙様式2-1の2及び3(1)~(6)、別紙様式2-2)
- ④ キャリアパス要件Ⅴ(介護福祉士等配置要件)の適合状況が変わり、加算区分が変わる場合(別紙様式2-1の3(6)、別紙様式2-2)
- ⑤-1 算定する処遇改善加算の区分を変更する場合、および新規に算定する場合(別紙様式2-1、別紙様式2-2)
- ⑤-2 入居継続支援加算や日常生活継続支援加算を算定できない状況が常態化し、3か月以上継続した場合(別紙様式2-1、別紙様式2-2)
- ⑥ 就業規則を改訂(介護職員の処遇に関する内容に限る)した場合
- 提出書類:
- 提出期限:
- 居宅系サービス: 変更後の加算算定開始月の前月15日
- 施設系サービス: 変更後の加算算定開始月の1日
- 提出先: 介護サービス事業所等の所在する都道府県知事等。
② 特別事情届出書
- 提出が必要な場合: 事業継続のために、職員の賃金水準(処遇改善加算による賃金改善分を除く)を引き下げて賃金改善を行う場合。
- 年度を超えて賃金を引き下げる場合は、次年度の加算算定に必要な届出の際に、再度提出が必要。
- 提出書類: 別紙様式5の特別事情届出書。以下の①~④の事項を記載。
- ① 法人の収支状況(利用者数の大幅な減少等で経営悪化し、一定期間赤字、資金繰り状況の悪化などを示す内容)
- ② 賃金引き下げの内容(介護職員、およびその他の職種を含む場合)。
- ③ 法人の経営と賃金改善の見込み。
- ④ 賃金引き下げに関する労使合意(時期、方法など)。
- 提出先: 都道府県知事等
【原文】介護職員等処遇改善加算に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例
5 都道府県知事等への変更等の届出
⑴ 変更の届出
介護サービス事業者等は、処遇改善加算を算定する際に提出した処遇改善計画書の内容に変更(次の①から⑤までのいずれかに該当する場合に限る。)があった場合には、次の①から⑤までに定める事項を記載した別紙様 式4の変更に係る届出書(以下「変更届出書」という。)を届け出ること。また、⑥に係る変更のみである場合には、実績報告書を提出する際に、⑥に定める事項を記載した変更届出書をあわせて届け出ること。
なお、届出の期日については、居宅系サービスの場合は変更後の処遇改善加算の算定を開始する月の前月 15 日、施設系サービスの場合は変更後の処遇改善加算の算定を開始する月の1日までに、当該介護サービス事業所等の所在する都道府県知事等に提出するものとする。
① 会社法(平成 17 年法律第 86 号)の規定による吸収合併、新設合併等により、処遇改善計画書の作成単位が変更となる場合は、変更届出書及び別紙様式2-1を提出すること。
② 複数の介護サービス事業所等について一括して申請を行う事業者において、当該申請に関係する介護サービス事業所等に増減(新規指定、廃止等の事由による。)があった場合は、変更届出書並びに別紙様式2-1の 2、3⑴、⑵及び⑸並びに別紙様式2-2を提出すること。
③ キャリアパス要件ⅠからⅢまでに関する適合状況に変更(算定する処遇改善加算の区分に変更が生じる場合に限る。)があった場合は、キャリアパス要件の変更に係る部分の内容を変更届出書に記載し、別紙様式2-1の2及び3⑴から⑹まで並びに別紙様式2-2を提出すること。
④ キャリアパス要件Ⅴ(介護福祉士等の配置要件)に関する適合状況に変更があり、算定する処遇改善加算の区分に変更が生じる場合は、介護福祉士等の配置要件の変更の内容を変更届出書に記載し、別紙様式2-1の 3⑹及び別紙様式2-2を提出すること。
また、喀痰吸引を必要とする利用者の割合についての要件等を満たせないことにより、入居継続支援加算や日常生活継続支援加算を算定できない状況が常態化し、3か月以上継続した場合も、同様に変更の届出を行うこと。
⑤ また、算定する処遇改善加算の区分の変更を行う場合及び処遇改善加算を新規に算定する場合には、変更届出書及び別紙様式2-1及び別紙様式2-2を提出すること。
⑥ 就業規則を改訂(介護職員の処遇に関する内容に限る。)した場合は、当該改訂の概要を変更届出書に記載し、提出すること。
⑵ 特別事情届出書
事業の継続を図るために、職員の賃金水準(処遇改善加算による賃金改善分を除く。以下この5において同じ。)を引き下げた上で賃金改善を行う場合には、以下の①から④までの事項を記載した別紙様式5の特別な事情に係る届出書(以下「特別事情届出書」という。)を届け出ること。なお、年度を超えて介護職員の賃金を引き下げることとなった場合は、次年度の加算を算定するために必要な届出を行う際に、特別事情届出書を再度提出する必要がある。
① 処遇改善加算を算定している介護サービス事業所等の法人の収支(介護事業による収支に限る。)について、サービス利用者数の大幅な減少等により経営が悪化し、一定期間にわたって収支が赤字である、資金繰り に支障が生じる等の状況にあることを示す内容
② 介護職員(その他の職種を賃金改善の対象としている介護サービス事業所等については、その他の職種の職員を含む。以下この5において同じ。)の賃金水準の引き下げの内容
③ 当該法人の経営及び介護職員の賃金水準の改善の見込み
④ 介護職員の賃金水準を引き下げることについて適切に労使の合意を得ていること等の必要な手続きに関して、労使の合意の時期及び方法 等
6. 届出内容を証明する資料の保管及び提示
事業者の義務
- 処遇改善計画書チェックリストの確認:
- 処遇改善計画書を提出する前に、チェックリストを用いて、記載内容に漏れや誤りがないかを確認する。
- 根拠資料と書類の保管:
- 都道府県知事等からの求めに応じた速やかな提示:
- 都道府県知事等から、上記で保管している資料や書類の提示を求められた場合は、速やかに応じる必要がある。
【原文】介護職員等処遇改善加算に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例
6 届出内容を証明する資料の保管及び提示
処遇改善加算を算定しようとする介護サービス事業者等は、処遇改善計画書の提出に当たり、処遇改善計画書のチェックリストを確認するとともに、記載内容の根拠となる資料及び以下の書類を適切に保管し、都道府県知事等から求めがあった場合には速やかに提示しなければならない。
イ 労働基準法(昭和 22 年法律第 49 号)第 89 条に規定する就業規則等(賃金・退職手当・臨時の賃金等に関する規程、別紙様式2-1の3⑶のう ちキャリアパス要件Ⅰに係る任用要件及び賃金体系に関する規程、別紙様式2-1の3⑷のうちキャリアパス要件Ⅲに係る昇給の仕組みに関する規程を就業規則と別に作成している場合には、それらの規程を含む。以下同じ。)
ロ 労働保険に加入していることが確認できる書類(労働保険関係成立届、労働保険概算・確定保険料申告書等)
7. 処遇改善加算の停止
① 加算の停止(返還・取消)となるケース
以下の(1)または(2)に該当する場合、都道府県知事等は、既に支給された処遇改善加算の一部または全部を不正受給として返還させたり、加算を取り消したりすることができます。
- (1) 算定要件を満たさない場合:
- 処遇改善加算の算定額に相当する賃金改善が行われていない。
- 賃金水準を引き下げているにもかかわらず、「特別事情届出書」の提出がない。
- その他、厚生労働大臣が定める基準(大臣基準告示)や通知に記載されている算定要件を満たしていない。
- (2) 虚偽または不正の手段で加算を受けた場合:
- 虚偽の申請や不正な方法で加算を受給した場合。
② 複数の事業所を持つ事業者の場合の対応
- 複数の介護サービス事業所等を持つ事業者(法人に限る)で、一括して処遇改善計画書を作成している場合
- 関係する事業所の指定等権者(都道府県知事等)が協議し、必要に応じて連携して監査等を実施する。
- 指定等権者間の協議は、都道府県が調整することが望ましい。
【原文】介護職員等処遇改善加算に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例
7 処遇改善加算の停止
都道府県知事等は、処遇改善加算を取得する介護サービス事業者等が以下の⑴又は⑵に該当する場合は、既に支給された処遇改善加算の一部若しくは全部を不正受給として返還させること又は処遇改善加算を取り消すことができる。
なお、複数の介護サービス事業所等を有する介護サービス事業者等(法人である場合に限る。)であって一括して処遇改善計画書を作成している場合、当該介護サービス事業所等の指定等権者間において協議し、必要に応じて監査等を連携して実施すること。指定等権者間の協議に当たっては、都道府県が調整をすることが望ましい。
⑴ 処遇改善加算の算定額に相当する賃金改善が行われていない、賃金水準の引下げを行いながら5⑵の特別事情届出書の届出が行われていない等、大臣基準告示及び本通知に記載の算定要件を満たさない場合
⑵ 虚偽又は不正の手段により加算を受けた場合
8. 処遇改善加算の算定要件の周知・確認等について
① 都道府県等の役割
- 確認: 処遇改善加算を算定している介護サービス事業所等が、算定要件を満たしているかを確認する。
- 適切な運用: 処遇改善加算が適切に運用されるように努める。
② 介護サービス事業者等の責務
- ⑴ 賃金改善方法の周知:
- 事業所における賃金改善の方法等を、処遇改善計画書などを用いて職員に周知する。
- 就業規則等の内容についても、介護職員等に周知する。
- 介護職員等から賃金改善に関する照会があった場合は、書面を用いるなどして、分かりやすく回答する。
- ⑵ 労働法規の遵守:
- 処遇改善加算の目的や、厚生労働大臣が定める基準(大臣基準告示)等を踏まえ、労働基準法などの労働法規を遵守する。
【原文】介護職員等処遇改善加算に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例
8 処遇改善加算の算定要件の周知・確認等について
都道府県等は、処遇改善加算を算定している介護サービス事業所等が処遇改善加算の算定要件を満たすことについて確認するとともに、適切な運用に努めること。また、処遇改善加算を算定する介護サービス事業者等は、以下の点に努めること。
⑴ 賃金改善方法の周知について
処遇改善加算を算定する介護サービス事業者等は、当該事業所における賃金改善を行う方法等について、処遇改善計画書を用いるなどにより職員に周知するとともに、就業規則等の内容についても介護職員等に周知すること。
介護職員等から処遇改善加算に係る賃金改善に関する照会があった場合は、当該職員の賃金改善に係る内容について、書面を用いるなど分かりやすく回答すること。
⑵ 労働法規の遵守について
処遇改善加算の目的や、大臣基準告示第4号イ⑸等を踏まえ、労働基準法等を遵守すること。
9. その他
① 介護分野の文書に係る負担軽減
- 原則: 都道府県等は、厚生労働省が提示する別紙様式(処遇改善計画書、実績報告書など)を変更しないこと。
- 添付書類: 処遇改善計画書や実績報告書の内容を証明する資料は、事業者が適切に保管し、都道府県等から求められた場合に速やかに提出することを条件に、届出時に一律の添付は不要。
- 押印: 別紙様式について、押印は不要。
② 処遇改善加算の取得促進
- 介護サービス事業者等における処遇改善加算の新規算定や上位区分への移行を支援する「取得促進支援事業」の活用を推奨。
- 国が実施する取得促進支援事業への協力を要請。
③ 介護事業所に対する雇用管理の改善に係る相談・援助支援
- (公財)介護労働安定センターが、事業主に対して雇用管理の改善等に関する相談・援助を実施していることを紹介。
- 処遇改善加算の取得につながる就業規則、賃金規程、職場環境改善等に関する相談・援助も行っている。
- 介護サービス事業者等に対する集団指導の場で、(公財)介護労働安定センターによる雇用管理改善支援策の説明も可能。
④ 令和6年度の処遇改善加算及び旧3加算に係る届出
- この通知は、令和7年度の処遇改善加算の届出に適用される。
- 令和6年度の処遇改善加算及び旧3加算(介護職員処遇改善加算、介護職員等特定処遇改善加算、介護職員等ベースアップ等支援加算)の届出は、別の通知(令和6年3月15日付け老発0315第2号厚生労働省老健局長通知)に基づいて行う。
【原文】介護職員等処遇改善加算に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例
9 その他
⑴ 介護分野の文書に係る負担軽減に関する取組について
令和元年度の「介護分野の文書に係る負担軽減に関する専門委員会」における議論や中間取りまとめの趣旨を踏まえ、処遇改善加算の様式の取扱いについては以下のとおりとすること。
① 別紙様式は、原則として、都道府県等において変更を加えないこと。
② 処遇改善計画書及び実績報告書の内容を証明する資料は、介護サービス事業者等が適切に保管していることを確認し、都道府県等からの求めがあった場合には速やかに提出することを要件として、届出時に全ての介護サービス事業者等から一律に添付を求めてはならないこと。
③ 別紙様式について押印は要しないこと。
⑵ 処遇改善加算の取得促進について
介護サービス事業者等における処遇改善加算の新規算定やより上位の区分の算定に向けた支援を行う「取得促進支援事業」を適宜活用されたい。また、国が当該事業を行うに当たっては、ご協力をお願いしたい。
⑶ 介護事業所に対する雇用管理の改善に係る相談・援助支援について
介護労働者が職場に定着し、安心して働き続けるようにするためには、雇用管理の改善等は重要であることから、(公財)介護労働安定センターでは事業主に対する雇用管理の改善等に関する相談・援助を実施している。処 遇改善加算の取得につながる就業規則や賃金規程・職場環境改善等に係る相談・援助を行っていることから適宜案内されたい。
なお、介護サービス事業者等に対する集団指導の場において、(公財)介護労働安定センターから雇用管理改善に向けた支援策の説明等を行うことも可能であることを申し添える。
⑷ 令和6年度の処遇改善加算及び旧3加算に係る届出について
本通知は令和7年度の処遇改善加算に係る届出に適用することとし、令和6年度の処遇改善加算及び旧3加算の届出は、介護職員等処遇改善加算等に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について(令和6年3月 15 日付け老発 0315 第2号厚生労働省老健局長通知)に基づき行うものとする。
介護職員等処遇改善加算に関するQ&A
【賃金改善方法・対象経費】
【対象者・対象事業者】
【月額賃金改善要件】
【キャリアパス要件Ⅰ~Ⅲ】
【キャリアパス要件Ⅳ】
【キャリアパス要件Ⅴ】
【職場環境等要件】
【その他】
【令和7年度 処遇改善加算】最大限に活用するための最終チェックポイント
令和6年度の介護報酬改定で一本化された介護職員等処遇改善加算。この記事では、令和7年度の運用について解説しました。経験・技能のある介護職員への重点配分、月額賃金改善、キャリアパス、職場環境… 複雑な算定要件も整理できたはずです。
令和7年度は、加算の一本化から2年目。以下の点に注意し、自事業所に合った要件を選択、適切に対応、届出を行いましょう。
- 令和7年度の注意点
- 計画書・実績報告書の提出期限
- 経過措置・特例の確認
- 介護福祉士等の配置要件の確認
- キャリアパス要件の確認
- 職場環境等要件の確認
今すぐ、自事業所の状況をチェックし、計画書作成の準備を始めましょう。
処遇改善加算を最大限に活用し、介護職員のベースアップを実現するチャンスです! もし、ご自身だけでの判断が難しい場合は、厚生労働省の相談窓口や社会保険労務士などの専門家にご相談されることをおすすめいたします。