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のどか会計事務所

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行動援護とは? 知的・精神障害者の外出を支える制度を解説

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目次

行動援護とは? 知的・精神障害者の外出を支える制度を解説のメイン画像

日常生活において、私たちは自由に外出して、買い物、通院、余暇活動などを行います。しかし、知的障害や精神障害のある方の中には、一人で行動することが難しく、外出に際して様々な困難を抱えている方がいます。そのような方々を支えるのが「行動援護」という障害福祉サービスです。

この記事では、行動援護の制度概要から、具体的なサービス内容、利用方法、費用、そしてよく比較される「移動支援」や「同行援護」との違いまで、詳しく解説します。行動援護について知りたい方、利用を検討しているご本人やご家族、支援者の方々は、ぜひ参考にしてください。

行動援護とは?:知的・精神障害のある方の自立と社会参加を支える

行動援護とは、障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスのひとつです。知的障害や精神障害により、行動上著しい困難があり、常時介護を必要とする方が、安全に外出できるようサポートすることを目的としています。

具体的には、外出時の危険回避、外出前後の準備、移動中の介護、排せつや食事の介助など、行動面での支援を総合的に提供します。

行動援護の対象者

行動援護を利用できるのは、以下の3つの要件をすべて満たす方です。

  1. 知的障害または精神障害があること: 知的障害者手帳(療育手帳)や精神障害者保健福祉手帳の有無は問いませんが、医師の診断書等で確認される場合があります。
  2. 障害支援区分が3以上であること: 障害支援区分は、障害の程度を総合的に示すもので、区分1から区分6まであります。行動援護は、区分3以上の方が対象です。
  3. 行動関連項目等の合計点数が10点以上であること(強度行動障害): 障害支援区分の認定調査項目のうち、行動に関連する12項目の合計点数が10点以上である必要があります。(※児童の場合は、これに相当する支援の度合い)

障害支援区分の認定調査項目(行動関連項目)の概要

障害支援区分の認定調査では、コミュニケーション、説明の理解、大声・奇声、異食行動、多動・行動の停止、不安定な行動、自傷行為、他傷行為、不適切な行為、突発的行動、過食・反芻等、てんかんといった項目について、ご本人の状況を確認します。これらの項目は、知的障害や精神障害のある方が、日常的に直面する困難さを評価するためのものです。

行動援護が必要とされる背景

知的障害や精神障害のある方は、以下のような特性により、外出時に様々な困難に直面することがあります。

  • 状況判断の難しさ: 危険を予測したり、適切な行動を選択したりすることが難しい場合があります。
  • コミュニケーションの困難さ: 自分の意思を伝えたり、相手の言葉を理解したりすることが難しい場合があります。
  • 感覚過敏: 光、音、匂いなど、特定の刺激に対して過敏に反応してしまうことがあります。
  • こだわり: 特定の行動や手順に強いこだわりがあり、変更することが難しい場合があります。
  • 不安やパニック: 見慣れない場所や状況で、強い不安やパニックを起こしてしまうことがあります。

これらの特性により、一人での外出が困難であったり、外出中に危険な状況に陥ったりする可能性があります。行動援護は、専門的な知識と技術を持ったヘルパーが、これらの困難を軽減し、安全な外出をサポートします。

行動援護のサービス内容:3つの対応で安心をサポート

行動援護のサービスは、大きく分けて「予防的対応」「制御的対応」「身体介護的対応」の3つがあります。

  • 予防的対応: 行動障害を未然に防ぐための支援です。
    • 行動の予定が分からない等のため、不安定になったり、不安を紛らわすために不適切な行動が出ないよう、あらかじめ日常生活の行動の順番や、外出する場合の目的地、道順、目的地での行動などを、言葉以外のコミュニケーション手段も用いて説明し、落ちついた行動がとれるよう理解させること
    • 視覚、聴覚等に与える影響が行動障害の引き金となる場合に、本人の視界に入らないよう工夫するなど、どんな条件のときに行動障害が起こるかを熟知した上で環境調整を行う等の予防的対応等を行うことなど
  • 制御的対応: 行動障害が起きてしまった場合に、適切に対応するための支援です。
    • 何らかの原因で本人が行動障害を起こしてしまった時に、本人や周囲の人の安全を確保しつつ行動障害を適切におさめること
    • 危険であることを認識できないために突然飛び出してしまうといった不適切な行動、自分を傷つける行為を適切におさめること
    • 本人の意思や思い込みにより、突然動かなくなったり、特定のものに強いこだわりを示すなど極端な行動を引き起こす際の対応
  • 身体介護的対応: 外出に伴う身体的な介助を行います。
    • 便意の認識ができない者の介助や排便後の後始末等の対応
    • 食事を摂る場合の食事介助
    • 入浴及び衣服の着脱介助など

行動援護の利用方法と費用:まずは市区町村の窓口へ

行動援護を利用するには、以下の手順を踏む必要があります。

  1. 相談: まずは、お住まいの市区町村の障害福祉窓口や相談支援事業所に相談します。
  2. 申請: 利用を希望する場合は、市区町村に申請を行います。
  3. 調査・認定:障害支援区分の認定調査を受け、審査会で障害支援区分が決定されます。
  4. サービス等利用計画案の作成:相談支援事業者が、利用者の希望や状況に応じたサービス等利用計画案を作成します。
  5. 支給決定:市区町村がサービス等利用計画案を基に、サービスの支給量を決定し、受給者証が交付されます。
  6. 事業者との契約:利用者は、行動援護を提供する事業者を選び、契約を結びます。
  7. サービス利用開始:契約に基づき、サービスの利用が開始されます。

利用できる時間

行動援護の利用時間は、原則として1日1回、30分未満から7時間30分以上8時間未満までとなっています。

利用料

行動援護の利用料は、サービス費用の1割が自己負担となります。ただし、所得に応じて負担上限月額が設定されており、それを超える負担はありません。詳細については、お住まいの市区町村の障害福祉窓口にお問い合わせください。

利用時の注意点

  • 行動援護は、1日に2回以上の利用は原則としてできません。
  • 通勤、営業活動、通年かつ長期にわたる外出、宗教活動、政治活動、反社会的な活動などには利用できません。

行動援護と関連サービスの違い:移動支援・同行援護

行動援護とよく比較されるサービスに、「移動支援」と「同行援護」があります。

移動支援・同行援護との違い

サービス対象者サービス内容提供主体
行動援護知的障害または精神障害により行動上著しい困難があり、常時介護を必要とする方(障害支援区分3以上、行動関連項目10点以上)外出時の危険回避、移動中の介護、排せつ・食事の介助など、行動面での支援を総合的に提供国(障害福祉サービス)
移動支援障害のある方で、市町村が外出時に移動の支援が必要と認めた方社会生活上必要不可欠な外出や、余暇活動など社会参加のための外出の際の移動を支援(個別支援型、グループ支援型、車両移送型)市町村(地域生活支援事業)
同行援護視覚障害により移動に著しい困難を有する方移動時及びそれに伴う外出先において必要な視覚的情報の支援(代筆・代読を含む)、移動の援護、排せつ・食事等の介護その他外出する際に必要となる援助国(障害福祉サービス)

移動支援は、行動援護よりも対象者が広く、障害の種類や程度に関わらず、市町村が必要と認めれば利用できます。サービス内容は、主に外出時の移動の支援であり、行動援護のような行動面での専門的な支援は含まれません。

同行援護は、視覚障害のある方の外出を専門的に支援するサービスです。移動の支援だけでなく、視覚的な情報提供(代筆・代読を含む)が重要なサービス内容となっています。

行動援護従業者になるには?:資格と研修

行動援護のサービスを提供する事業所で働くには、資格要件を満たす必要があります。資格要件は、「従業者」と「サービス提供責任者」で異なります。

従業者の資格要件

以下のいずれかを満たす必要があります。

  1. 行動援護従業者養成研修 または 強度行動障害支援者養成研修(基礎研修・実践研修両方)修了 + 知的障害者・児または精神障害者の直接支援業務経験1年以上(180日以上)
  2. 【経過措置:令和9年3月31日まで】 以下のいずれかの資格(令和3年3月31日時点) + 知的障害者・児または精神障害者の直接支援業務経験2年以上:
    • 介護福祉士
    • 実務者研修修了者
    • 介護職員基礎研修、居宅介護従業者養成研修1級課程修了者
    • 居宅介護職員初任者研修(旧ヘルパー2級)修了者等(※介護業務経験3年以上)
    • ※ 令和9年4月1日以降、この経過措置は利用できなくなります。

サービス提供責任者の資格要件

以下のいずれかを満たす必要があります。

  1. 行動援護従業者養成研修 または 強度行動障害支援者養成研修(基礎研修・実践研修両方)修了 + 知的障害者・児または精神障害者の直接支援業務経験3年以上
  2. 【経過措置:令和9年3月31日まで】 以下のいずれかの資格(令和3年3月31日時点) + 知的障害者・児または精神障害者の直接支援業務経験5年以上:
    • 介護福祉士
    • 実務者研修修了者
    • 介護職員基礎研修、居宅介護従業者養成研修1級課程修了者
    • 居宅介護職員初任者研修(旧ヘルパー2級)修了者等(※介護業務経験3年以上)
    • ※ 令和9年4月1日以降、この経過措置は利用できなくなります。

実務経験の数え方

「〇年以上」の実務経験は、以下の両方を満たす必要があります。

  • 従事期間: 通算365日以上(1年の場合。2年なら730日、3年なら1095日、5年なら1825日)
  • 実働日数: 180日以上(1年の場合。2年なら360日、3年なら540日、5年なら900日)

行動援護従業者養成研修について

行動援護の基本を学ぶ研修です。都道府県または指定事業者が実施します。

  • 受講資格: 特になし(誰でも受講可能)
  • 内容・時間・費用: 実施機関によって異なります。

強度行動障害支援者養成研修について

強度行動障害のある方への支援スキルを学ぶ研修です。行動援護従業者養成研修とは別ですが、修了すると(基礎研修、実践研修両方)行動援護の従業者・サービス提供責任者の要件を満たせます。また、行動援護のサービスを提供する上で、強度行動障害に関する知識は非常に役立ちます。

まとめ:行動援護で、もっと自由に、もっと安心して

行動援護は、知的障害や精神障害のある方が、地域社会の一員として、より自由に、より安心して生活を送るための、大切なサポートです。この記事を通して、行動援護の制度やサービス内容について、ご理解いただけたでしょうか。

「外出したいけど、一人では不安…」 「もっと社会とつながりたい…」

そう感じている方は、ぜひ一度、お住まいの市区町村の障害福祉窓口にご相談ください。行動援護が、あなたの「一歩」を後押ししてくれるかもしれません。

また、行動援護の仕事に興味がある方は、ぜひ行動援護従業者養成研修を受講し、専門的な知識と技術を身につけて、知的障害や精神障害のある方の支援に携わってみてはいかがでしょうか。

行動援護が、より多くの方に利用され、より質の高いサービスが提供されることで、誰もが安心して暮らせる社会の実現に貢献できることを願っています。

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