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就労支援B型の安定運営に!「積立金制度」を理解しよう


なぜ積立金が必要なのか?
就労継続支援B型事業所では、原則として生産活動から得た利益(剰余金)は利用者に工賃として支払うため、剰余金は発生しません。しかし、生産活動の収入は変動しやすく、将来的に工賃水準が維持できなくなったり、事業継続に必要な設備投資が困難になったりする可能性があります。こうした事態に備え、将来にわたって安定的に工賃を支給し、事業を円滑に継続するために、一定の要件の下で利益の一部を積み立てることが認められています。これが「積立金制度」です。積立金の計上には理事会等の議決が必要で、目的外の使用は認められていません。
工賃変動積立金とは?
「工賃変動積立金」は、将来の生産活動収入の減少などにより、工賃が過去の実績(過去3年間の最低工賃水準など)を下回ってしまう場合に、その差額を補填するために積み立てるお金です。これにより、利用者に支払う工賃の急激な変動を抑え、安定した支給を目指します。毎年度積み立てられる額には上限(例:過去3年間の平均工賃の10%以内)があり、全体の積立額にも上限(例:過去3年間の平均工賃の50%以内)が定められています。工賃水準が低下した年度に、理事会等の議決を経て取り崩し、工賃として利用者に支給します。
設備等整備積立金とは?
「設備等整備積立金」は、生産活動に必要な設備(機械、器具など)の更新や、新たな生産活動を始めるための設備導入に備えるための積立金です。これにより、事業の継続性や発展性を確保します。こちらも毎年度の積立額には上限(例:当該年度の就労支援事業収入の10%以内)があり、全体の積立額の上限(例:就労支援事業資産の取得価額の75%以内)も定められています。実際に設備投資を行った際に、理事会等の議決を経て取り崩されます。
積立金の注意点
積立金を計上するには、その年度の工賃支払額が前年度の実績を下回らないこと、そして積立額と同額の現金預金等(積立資産)を別途確保することが必要です。これらの積立金は、定められた目的以外に流用することはできませんが、訓練等給付費の入金が遅れる場合などに限り、一時的な繰替使用が認められることもあります(ただし後で必ず補填が必要)。