【介護・障害福祉】処遇改善加算の実績報告 新設事業所や職員に変動があった場合はどうする?


処遇改善加算(介護保険サービスにおける介護職員等処遇改善加算、障害福祉サービスにおける福祉・介護職員等処遇改善加算)の実績報告について、「実績と比較する処遇改善加算を算定しない場合の賃金水準はいつの時点?」「比較対象のない新規事業所はどうするの?」「人員に変動があった場合は?」といった疑問をお持ちではないでしょうか。
この記事では、賃金改善の基準点、つまり、実績報告の賃金改善を実施後の賃金水準と、処遇改善加算を算定しない場合の賃金水準との比較における、算定しない場合の賃金水準の基準点について詳しく解説し、皆様の疑問を解消します。
基本的な考え方
処遇改善加算について、①「処遇改善加算の算定額に相当する賃金改善を実施」、原則として、②「賃金改善以外の部分で賃金水準を引き下げていない」ことが要件とされています。
このため、実績報告において
- 「処遇改善加算の算定額に相当する賃金改善を実施」していることの確認として
- 「処遇改善加算を算定しない場合の賃金水準」と「報告年度における賃金改善後の賃金水準」との比較内容を報告
- 「賃金改善以外の部分で賃金水準を引き下げていない」ことの確認として
- 「前年度における加算と独自の賃金改善の影響を除いた加算の賃金額」と「報告年度における加算の影響を除いた賃金額」との比較内容を報告
することが要求されています。
これら、実績報告における比較対象数値の算定方法は、様々なルールがありますので、以下詳しく解説いたします。
処遇改善加算を算定しない場合の賃金水準
原則的な取り扱い
処遇改善加算を算定しない場合の賃金水準は、原則として、初めて処遇改善加算を算定した年度の前年度における賃金水準とすることとされています。
職員構成の変動等があった場合
職員構成の変動等により、
- 「初めて処遇改善加算を算定した年度の前年度における賃金水準を推計することが困難な場合」
または、
- 「現在の賃金水準と比較することが適切でない場合」
には、処遇改善加算を算定しない場合の賃金水準を、処遇改善加算を除いた報酬の総単位数の見込額に基づく営業計画・賃金計画を策定した上で試算する等の適切な方法により算出しても差し支えないとされています。
新規開設事業所の場合
事業所を新規に開設した場合には、処遇改善加算を算定しない場合の賃金水準を、処遇改善加算を除いた介護報酬の総単位数の見込額に基づく営業計画・賃金計画を策定する等の適切な方法により算出しても差し支えないとされています。
前年度における加算と独自の賃金改善の影響を除いた加算の賃金額
職員数の増減や職員構成に変動があった場合
職員数の増減や職員構成に変動があった場合で、賃金水準のベースダウンを実施していないにも関わらず、「報告年度における加算の影響を除いた賃金額」が「前年度における加算と独自の賃金改善の影響を除いた加算の賃金額」を下回った場合には、例えば、以下の方法等による調整が認められています。
- 退職者: 前年度に在籍していなかったものと仮定して算定
- 新規採用職員: 同等の待遇の者が前年度に在籍していたもの仮定して算定