
日本の公道は、誰もが自由に通行・利用できることを基本としていますが、工事やイベント開催、看板設置など、その本来の目的から外れた特別な使い方をする場合には、法律に基づいた適切な許可が必要になります。これが「道路使用許可」と「道路占用許可」です。
これらの許可制度は、道路という限られた公共空間の利用を秩序立て、交通の安全を守り、道路そのものを保護するために設けられています。しかし、「どちらの許可を申請すればいいのか?」「手続きはどう違うのか?」といった疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
この記事では、「道路使用許可」と「道路占用許可」について、その根拠となる法律、目的、許可が必要となる具体的なケース、申請方法、費用、さらには2025年に関連する最新情報まで、詳しく解説していきます。両者の違いを明確にし、どのような場合にどちらの許可、あるいは両方が必要なのかを理解することで、法令を遵守し、スムーズに計画を進めるための一助となれば幸いです。
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道路使用許可とは? (道路交通法第77条)
目的:交通の安全と円滑の確保
道路使用許可は、道路交通法第77条に基づく制度です。道路工事や作業、お祭りやイベント、ロケーション撮影など、道路本来の目的である「通行」以外の方法で道路を使用し、交通の妨げとなる可能性のある行為や、交通に危険を生じさせるおそれのある行為を行う際に必要となる許可です。
この制度の主な目的は、これらの行為を事前に警察が把握し、必要な条件を付すことで、道路における交通の安全と円滑を確保することにあります。つまり、警察の視点から交通管理を行うための許可制度と言えます。
許可権者:警察署長
道路使用許可は、その行為を行う場所を管轄する警察署長が付与します。もし、許可を受けたい行為の場所が、同じ都道府県内の複数の警察署の管轄にまたがる場合は、そのうちのいずれか一つの警察署長に申請すれば大丈夫です。
許可が必要な行為(道路交通法第77条第1項)
道路交通法第77条第1項では、以下の行為を行う場合に道路使用許可が必要と定めています。
1号許可:工事・作業
- 建設工事、水道・ガス・電気等の管路埋設工事、軌道工事、地下鉄工事、架空線工事、マンホール作業
- 資材の搬出入(クレーン車の停車を伴うものなど)
- ビルメンテナンスのためのゴンドラ作業、窓ふき作業
- 測量、ボーリング調査
- 献血活動など
2号許可:工作物の設置
- 道路上に看板、広告塔、のぼり旗、横断幕などを設置する場合
- 一時的なものでも、継続的なものでも対象となります。
3号許可:露店・屋台など
- お祭りやイベントでの屋台、路上での物品販売など、特定の場所で固定的に営業する場合。
4号許可:イベント、撮影、デモ行進など
- 上記以外で、一般交通に著しい影響を及ぼすような方法で道路を使用する行為、または人が集まる行為が対象です。
- この内容は、各都道府県の公安委員会が地域の状況に応じて具体的に定めています。一般的な例としては以下のようなものがありますが、詳細は管轄の警察署にご確認ください。
- 祭礼行事(神輿、山車など)、地域のお祭り、記念行事、式典
- マラソン大会、自転車競技会、パレード、デモ行進、仮装行列
- 映画、テレビドラマ、CMなどのロケーション撮影、写真撮影会、街頭録音
- 路上での演説、演芸、演奏、パフォーマンス、放送(ラジオ、テレビ中継など)
- 消防訓練、水防訓練、避難訓練、救護訓練
- 交通量の多い道路での寄付金募集、署名活動、アンケート調査
- 交通量の多い道路でのチラシ、ティッシュ、試供品などの配布、物品販売
- 人目を引くような装飾をした車両(広告宣伝カーなど)の通行、拡声器を使用した車両の通行
- 3人以上が旗、のぼり、看板などを持って列をなして行う広告・宣伝活動
- ロボットの移動を伴う実証実験など
- このように4号許可の範囲は非常に広く、申請を検討する場合は、活動を行う場所を管轄する都道府県警察のウェブサイトなどで、具体的な対象行為を確認することが重要です。
許可の基準
警察署長は、申請された行為が、以下のいずれかに該当する場合に許可をしなければなりません。これらは一般的に考慮される基準ですが、具体的な判断は個別の事案や交通状況に応じて行われます。
- 現に交通の妨げとなるおそれがないと認められるとき。
- 許可に条件を付け、その条件に従えば交通の妨げとなるおそれがなくなると認められるとき。
- 交通の妨げとなるおそれはあるが、公益上または社会の慣習上(お祭りなど)やむを得ないものであると認められるとき。
「交通の妨げとなるおそれ」の判断や「やむを得ない」かどうかの判断には、警察署長の裁量が認められています。そのため、申請内容の明確性、活動の必要性、そして交通整理員の配置計画などの安全対策を具体的に示すことが重要になります。
許可に付される条件
警察署長は、許可を与える際に、交通の安全と円滑を図るために必要な条件を付けることができます。以下はあくまで一般的な例であり、実際の条件は個別の許可内容によって異なります。
- 例:作業時間帯の制限、交通整理員の配置義務、う回路の設定など
許可後でも、交通状況の変化などにより、条件が変更されたり、新たに追加されたりすることもあります。
もし、許可を受けた人が条件に違反した場合や、交通安全上、特に必要が生じた場合には、許可が取り消されたり、一時的に効力が停止されたりすることもあります。
許可期間満了後・取消後の義務(原状回復)
許可期間が満了した時、または許可が取り消された時は、設置した工作物などを速やかに撤去し、道路を元の状態に戻す義務があります(原状回復義務)。
罰則
無許可で道路使用許可が必要な行為を行ったり、許可の条件に違反したりした場合は、道路交通法に基づき、3か月以下の懲役または5万円以下の罰金に処せられる可能性があります。
道路占用許可とは? (道路法第32条)
目的:道路の管理と保全
道路占用許可は、道路法第32条に基づく制度です。道路は公共の財産であり、その構造を守り、将来の計画との整合性を保ち、安全な交通を確保するという観点から、道路の地上、地下、または上空に特定の工作物、物件、施設を設置し、継続的に道路空間の一部を使用(占用)する場合に必要となる許可です。
道路使用許可が主に「行為」を対象とするのに対し、道路占用許可は道路空間を継続的・排他的に使用する特定の「モノ」の設置をコントロールする制度であり、道路管理者の視点からの許可と言えます。
許可権者:道路管理者(国・都道府県・市町村)
道路占用許可は、その道路を管理する道路管理者が付与します。道路管理者は道路の種類によって異なります。
- 国の管理する国道(指定区間内)
- 国(国土交通大臣、地方整備局長、国道事務所長など)
- 都道府県道、指定区間外の国道
- 都道府県知事(窓口は土木事務所など)
- 市町村道
- 市町村長(窓口は市役所・町村役場の道路管理担当部署、土木課など)
占用したい場所がどの種類の道路にあたるかを確認し、対応する道路管理者に申請する必要があります。
許可が必要な物件・施設(道路法第32条第1項、施行令第7条)
道路占用許可が必要となるのは、道路法および同法施行令で定められた特定の物件や施設を設置する場合に限られます。勝手に何でも設置できるわけではありません。主な例は以下の通りです。
- ライフライン関連
- 電柱、電線、変圧塔、電話柱、郵便ポスト、公衆電話ボックス、水道管、下水道管、ガス管、通信ケーブルなど
- 公共施設等
- 交番、公衆トイレ、消火栓、ごみ箱、フラワーボックス、ベンチ、バス停やタクシー乗り場の上屋、パーキングメーター、街灯など
- 商業・民間施設等
- 看板(突き出し看板、袖看板など)、広告塔、標識(案内標識など)、店舗の日よけ、アーケード、特定の自動販売機、駐輪・駐車のための車輪止め装置など
- 工事用仮設物
- 工事用の足場、仮囲い、落下物防護用施設(朝顔)、工事用敷鉄板、現場事務所、資材置場など
- イベント用仮設物
- 祭礼、縁日等のための屋台、テント、ステージなど
- 個人・地域関連
- 個人の住宅からの雨水排水管、町内会などが管理する融雪のための送水管、宅地への乗り入れのための固定式グレーチング蓋など
占用は道路の地上だけでなく、道路の上空(例:電線、看板)や地下(例:管路、地下通路)も対象となります。
重要なのは、ここに挙げられている物件以外は、原則として道路占用許可の対象とならないということです。設置したいものが法定のリストに含まれているか、事前に確認が必要です。
許可の基準
道路管理者は、以下の点を一般的に考慮して審査を行いますが、具体的な適用は個別の事案や道路管理者の判断によります。
- 物件の適合性
- 占用しようとする物件が、道路法および同法施行令で定められたものであること。
- やむを得ない必要性
- 道路の敷地外(民地など)に設置する余地がなく、やむを得ず道路を占用する必要があること。
- 基準への適合
- 占用の期間、場所、物件の構造などが政令で定める基準(道路法施行令)に適合していると考えられること。
- 道路機能の阻害防止
- 道路の構造を保全し、安全かつ円滑な交通を妨げないこと。
- 基本原則
- 上記に加え、公共性の原則(特定の営利目的より公共性の高いものを優先)、計画性の原則(将来の道路計画や都市計画との整合性)、安全性の原則も考慮されることがあります。
占用者の義務
道路占用許可を受けた者(占用者)は、以下のような義務を負うことが一般的です。
- 許可内容や付された条件を守ること。
- 道路占用料を支払うこと。
- 占用物件を適切に維持管理すること(道路の構造や交通に支障が出ないようにする義務)。特に近年はインフラ老朽化対策の観点から、この維持管理の重要性が増しています。
- 占用期間を更新する場合や、占用をやめる場合、権利を譲渡する場合(名義変更など)には、届出が必要となる場合があります。
- 占用期間が終わった時や占用をやめた時は、物件を撤去し、道路を元の状態に戻すこと(原状回復義務)。
- 占用が原因で道路管理者や第三者に損害を与えたり、トラブルになったりした場合は、占用者の責任で賠償し、解決すること。
許可期間と更新
道路占用許可の期間には上限があり、道路法施行令で定められています。
- 一般占用物件
(電気・ガス・水道・通信事業者以外の者が設置するもの)- 5年以内
- 企業占用物件
(電気・ガス・水道・通信等の公益事業者が設置するもの)- 10年以内
占用を継続したい場合は、許可期間が満了する前に更新の申請を行う必要があります。ただし、希望した期間がそのまま認められるとは限りません。
罰則
無許可で道路を占用したり、許可条件に違反したりした場合は、道路法に基づき、1年以下の懲役または30万円以下の罰金などの罰則が科される可能性があります。道路使用許可違反よりも重い罰則が規定されている点に注意が必要です。
道路使用許可と道路占用許可の違いを比較
ここまで見てきたように、道路使用許可と道路占用許可は、目的も根拠法も異なります。どちらの許可が必要か判断するために、その違いを整理しておきましょう。
特徴 | 道路使用許可 (道路交通法第77条) | 道路占用許可 (道路法第32条) |
---|---|---|
根拠法令 | 道路交通法 | 道路法 |
主たる目的 | 交通の安全と円滑の確保 | 道路の管理・保全、占用調整(道路という資産の管理) |
許可主体 | 所轄警察署長 | 道路管理者(国・都道府県・市町村) |
主たる対象 | 交通に影響を与える「行為」(工事、作業、イベント、一時的な物置等) | 継続的に道路を占める「工作物・物件・施設」(電柱、管路、足場等) |
使用形態 | 一時的・継続的(交通への影響が基準) | 原則として継続的・独占的 |
典型的な許可期間 | 行為に必要な期間(数日~数ヶ月、更新可能な場合あり) | 最長5年または10年(更新可) |
費用 | 申請手数料(申請ごと) | 道路占用料(占用期間中、面積・期間等に応じ継続発生) |
他許可との関係 | 占用許可が必要な場合は、通常これも必要。これ単独の場合も多い。 | 通常、道路使用許可も併せて必要。 |
罰則 (無許可等) | 3か月以下の懲役又は5万円以下の罰金 | 1年以下の懲役又は30万円以下の罰金 |
一番重要なポイントは、道路占用許可が必要となるケース(継続的な物件設置など)では、その設置工事自体や設置されたモノの存在が交通に影響を与えるため、ほぼ必ず道路使用許可も併せて必要になるということです。
一方で、道路使用許可だけが必要で、道路占用許可は不要なケース(例:一時的な道路工事、お祭りやパレード、路上での撮影など、継続的な物件設置を伴わない行為)もたくさんあります。
自分の計画している活動が、一時的な「行為」なのか、継続的な「物件設置」なのか、そしてそれが交通に影響を与えるのかどうかをよく考えて、必要な許可を判断しましょう。
申請手続きの詳細ガイド
道路使用許可の申請手順
- 申請先
- 行為を行う場所を管轄する警察署(交通課など)。
- 提出書類
通常、以下の書類を各2通提出します。- 道路使用許可申請書
- 付近の見取図(地図)
- 行為の内容がわかる図面や資料(工事計画図、交通整理計画図、イベント配置図など)
- 工作物を設置する場合は、その設計図や仕様書
- その他、警察署長が必要と認める書類(緊急連絡体制、警備計画など)
- 申請手数料
- 申請1件ごとに手数料が必要です。金額は都道府県や許可の種類によって異なります(例:東京都 2,700円/2,100円、宮城県 2,300円、福岡県 2,400円など)。支払いは、収入証紙からキャッシュレス決済へ移行が進んでいます。
- 処理期間
- 標準的には申請から許可証交付まで7日間程度(土日祝除く)とされていますが、内容によってはもっと時間がかかる場合もあるため、余裕をもって申請しましょう。
- オンライン申請
- 警察庁の「警察行政手続サイト」を通じて、一部の手続き(過去に許可を受けたものの期間延長や軽微な変更、再交付など)についてオンライン申請が可能です。ただし、対象は限定的なので、利用できるか事前に確認が必要です。新規の複雑な申請は、依然として窓口での申請や事前相談が必要な場合が多いです。
道路占用許可の申請手順
- 申請先
- 占用したい道路を管理する道路管理者(国道事務所、土木事務所、市役所の道路管理課など)。
- 提出書類
通常、以下の書類を2部提出します(自治体により異なる場合あり)。- 道路占用許可申請書
- 位置図
- 平面図(占用場所、面積計算がわかるもの)
- 横断図・断面図
- 構造図(占用物件の構造がわかるもの)
- 工事工程表
- 舗装復旧図(道路を掘削する場合)
- 誓約書(求められる場合)
- 道路占用料減免申請書(該当する場合)
- 処理期間
- 道路管理者や内容により異なりますが、1週間~3週間程度が目安です。書類の不備や関係機関との調整でさらに時間がかかることもあるため、占用(工事)開始予定日の1ヶ月前までの提出が推奨されることもあります。多くの場合、申請前の事前相談が推奨されます。
- 許可後の手続き
- 道路占用料の納付
- 道路占用許可書の受領
- 工事着手前に「道路占用工事着手届」を提出
- 工事完了後、速やかに(例:7日以内)「道路占用工事完了届」または「原状回復届」を写真等を添えて提出し、検査を受ける。
- オンライン申請
- 国の管理する国道
国土交通省の「道路占用システム」で、特定の占用物件についてオンライン申請が可能です。 - 地方公共団体が管理する道路
対応状況は自治体によって大きく異なります。独自のシステムや汎用プラットフォームを導入している場合があります。国はe-Gov等を活用したオンライン化を進めており、対象自治体は順次拡大中です。占用したい道路の管理者のウェブサイト等で確認が必要です。
- 国の管理する国道
両方の許可が必要な場合:ワンストップ申請(一括申請)
道路使用許可と道路占用許可の両方が必要な場合、申請者の負担を軽くするため、法律上、両方の申請書をどちらか一方の窓口(警察署または道路管理者)にまとめて提出することが認められています。受理した窓口が、もう一方の関係機関に書類を送付してくれます。
ただし、これはあくまで申請書の提出手続きを簡略化するもので、審査はそれぞれの機関が独立して行います。そのため、一方の許可が下りても、もう一方が不許可になる可能性はありますし、全体の処理期間が短縮されるわけでもありません。
道路占用料の仕組み
道路占用料とは?根拠と性質
道路占用料は、公共の財産である道路空間の一部を、特定の人が排他的・独占的に使用することに対する対価(使用料)として、道路管理者が徴収するものです。占用によって占用者が得る利益に着目した性質を持っています。
占用料の算定方法
占用料の額は、基本的に以下の要素を基に計算されます。
- 道路価格(円/㎡)
- 占用する場所の土地の価値。近隣の土地の時価(固定資産税評価額や相続税路線価なども参考にされる)を基に算定されます。
- 使用料率(%/年)
- 土地価格に対する年間賃料の割合のようなもの。国や各自治体が定めます。
- 占用面積(㎡)または延長(m)
- 占用する物件が占める面積や長さ。1㎡未満や1m未満の端数は切り上げられることが多いです。上空の占用でも、その真下の道路面への投影面積で計算されます。
- 修正率(%)
- 高架下や地下など、利用形態に応じて適用される調整率(減額)。
占用料額 ≒ 道路価格 × 使用料率 × 占用面積(または延長) × 修正率
定額物件と定率物件
占用料の算定アプローチには、実務上、大きく二つの考え方があります。ただし、これから説明する「定額物件」「定率物件」という区分や用語は、必ずしも全ての自治体で統一的に使われているわけではありません。
- 定額物件
- 電柱や看板のように数が多く規格化された物件については、個別に道路価格を算定せず、物件の種類や所在地(地価水準に応じた級地区分など)ごとに予め単価(例:電柱1本あたり年額〇〇円)が定められています。これにより、迅速かつ公平な処理が可能になります。
- 定率物件
- 地下街や高架下の店舗など、大規模で個別性の高い物件は、上記の基本式に基づき、占用場所ごとの道路価格(近傍類似の土地の時価)を算定して、個別に占用料が計算されます。
占用料の計算例(工事用足場)
例えば、新宿区の例(令和7年(2025年)4月1日現在の単価案)に基づくと:
- 単価: 年間 36,200円/㎡
- 占用面積: 道路から突出する部分の投影面積(例:幅0.4m × 長さ5.5m = 2.2㎡ → 切り上げて 3㎡)
- 占用期間: 6月6日から10月10日まで(4ヶ月と5日 → 切り上げて 5ヶ月)
計算式: 3㎡ × 36,200円/㎡/年 × (5ヶ月 ÷ 12ヶ月) = 45,250円
(※注:引用元資料の計算例とは異なる場合があるため、実際の適用単価・計算方法は必ず管轄の道路管理者にご確認ください)
占用期間の計算では、1ヶ月未満の端数は1ヶ月に切り上げるなどのルールがあります。
占用料の納付方法
占用料は、通常、許可が出た後、納入告知書によって一括で納付します(初年度分)。占用期間が翌年度以降にもわたる場合は、翌年度以降の分は、毎年、その年度分を期限(例:4月30日)までに納付するのが一般的です。原則として一度納付した占用料は返還されませんが、例外もあります。
占用料の減免制度
国や地方公共団体の事業に伴う占用や、バス停の上屋、消火栓、地域の祭礼のための仮設物など、公共性が高いと認められる占用については、申請により占用料が減額または免除(減免)される場合があります。減免を受けるためには、通常、別途「道路占用料減免申請書」の提出が必要です。
2025年に向けた最新動向
現時点(2024年)で確認できる、2025年に関連する道路使用許可・道路占用許可制度の動向をまとめます。
占用料単価・手数料支払い方法の変更
- 占用料単価の改定
- 新宿区のように、2025年4月1日からの新しい占用料単価案を示している自治体があります。占用許可を申請する際は、必ず管轄の道路管理者が定める最新の単価を確認しましょう。
- 申請手数料の支払い方法
- 道路使用許可の手数料について、キャッシュレス決済への移行が進んでいます。宮城県警察では、2025年度から原則キャッシュレスまたは現金となり、収入証紙は段階的に廃止されます。他の都道府県でも同様の動きが広がる可能性があります。
オンライン申請・ワンストップサービスの進展
- オンライン申請の拡大
- 道路使用許可・道路占用許可ともに、オンライン申請の導入・拡大が引き続き進められています。特に道路占用許可では、国の「道路占用システム」に加え、地方公共団体管理道路でのe-Gov等を利用したオンライン申請の対象拡大が見込まれます。ただし、まだ全ての申請がオンラインで完結するわけではありません。
- ワンストップサービスの推進
- 両許可の一括申請制度はありますが、デジタル連携を強化し、より手続きを簡素化・効率化しようという動きがあります。
制度の根幹に関わる法改正の情報は?
現時点で、2025年を目標とした道路交通法や道路法の根幹に関わるような大規模な法改正が予定されているという具体的な情報は確認されていません。変更の焦点は、主に申請手続きの利便性向上(デジタル化、支払い方法)や、占用料単価の見直しといった運用面にあるようです。
まとめ:適切な許可申請のために
道路使用許可と道路占用許可は、どちらも公道を利用する上で重要な手続きです。
- 道路使用許可
- 交通の安全と円滑のため、警察署長が「行為」に対して許可(道路交通法)
- 道路占用許可
- 道路の管理のため、道路管理者が「継続的な物件設置」に対して許可(道路法)
占用許可が必要な場合は、通常、使用許可も必要になります。無許可での行為や占用は罰則の対象となるだけでなく、公共の安全を脅かす可能性もあります。
申請にあたっては、まず自分の活動がどちらの許可、あるいは両方が必要なのかを正確に判断し、管轄する警察署および道路管理者に早期に相談することが重要です。手続きには時間がかかるため、余裕を持ったスケジュールで進めましょう。
オンライン申請やワンストップ申請などの便利な制度も活用しつつ、最新の条例、規則、手数料、手続き方法を必ず直接確認し、法令を遵守して安全かつ円滑に計画を進めてください。